片隅旅記

独り言を片隅に置いておきます

3号はやぶさ

 

2021年5月9日

 

道内3日間、上司主催のレンタカーによる弾丸鉄オタツアーが千歳空港にてお開きとなった。

と、言ってもお開きになったのは自分だけ。

この日は道北の歌登で朝を迎え、道央道を上司の運転でかっ飛ばし、三笠鉄道記念館を回って夕方に千歳に着いたとこだ。上司と同行者計4名はここから関東へ飛んで帰る。それを1人、見送ったのだ。

荷物をまとめて保安検査場へ進む同行者たち。

「じゃあまた明後日職場で ありがとうございました!」

そんな声を掛けてさっくりと解散。

さあ、自分もこれから帰ろう。

 

 

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新千歳空港駅からは快速エアポートに乗り、隣の南千歳駅へ。

南千歳からは函館行 最終北斗22号に乗り込む。

夕暮れを迎えた南千歳駅から、キハ261の力強いエンジンに包まれて帰路が始まった。

 

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地を這え空弁。

 

新千歳空港こと新千歳ショッピングセンターで仕入れておいたのだ。

自分に買われたがために空を飛ばず、室蘭本線を120km/hで走る運命となった空弁をちょっと哀れに思いながらサックラで流し込む。

すぐに外は真っ暗になり、どこを走っているかも分からない。終着の函館までは3時間弱。暇、なんだけどめちゃくちゃ眠い。道内2泊とも5時間以下しか寝てなかったからなぁ。

 

そそくさと食べ終えると睡眠不足+アルコールの効力により一瞬で睡魔へ落ちた。

 

 

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完全に爆睡して起きたら函館に到着間際だった。

やべぇ今何時だ⁈

スマホで時間を確認すると22時40分。定刻通りの到着にホッとしつつ、足早に駅前タクシー乗り場へ向かう。

 

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青函フェリーの方のフェリーターミナルへお願いします。

乗り慣れないタクシーに窮屈に身を乗せて、行き先を告げる。それ以外に会話があったかは覚えてない。

歩ける距離なので歩きたかったが、ここばかりはタクシーじゃないと間に合わなくなる。

元々の行程は時間に余裕があって、歩いて向かえる津軽海峡フェリーに乗る予定でいた。前日になってからふとサイトを確認したところドックダイヤになっており、慌てて切り替えた結果が青函フェリーだったのだ。

 

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ワープとして使えてしまうタクシーを行程に組み込んでしまったことに若干の自己嫌悪をしていると、15分ほどでフェリーターミナルへ着いた。

しっとりと冷えた港の空気を吸い込む。

思ったより綺麗じゃん。

 

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徒歩乗船でも予約が必要で、ほぼ24時間前に電話口で伝えた名前を窓口で再度伝える。程なくして乗船券が手渡された。

さあ、これで本州へ帰るんだ。

 

周りを見渡すと旅慣れてそうな人がちらほら。

堕れた空気に混じり乗船開始を待つ。

 

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23時20分

 

出港10分前に乗船が始まった。

乗船開始を待つ、堕れた空気からいち早く離れようと外へ出る。

検札を受けて船内へ。

皆足早に客室へと向かう。

横ではトラックの乗船も始まった。

ガンガン プシュ ガァーーー プシュ

誘導に合わせて順序よく積み込まれる。

仕事・旅行 様々な目的を持った人々が集まり、物流や想いが乗り込むこの瞬間がたまらなく好きだ。

 

……でもあまりウロウロしている余裕もないな。

 

短距離夜行フェリーではまず、寝床を探さないとならない。見学もほどほどに自分も客室へ向かう。

 

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3号はやぶさは2000年9月就航 これを書いてる時点では最古参に当たる船だ。

津軽海峡Fの方にあるような個室やビューシートなぞ無く、一般客は座席か雑魚寝の大部屋のみとなる。

 

好ましい書体の重い扉を開け、暖かい客室へ入る。

窓側に枕が並んでいるのが嬉しい。

サッと端っこのスペースを確保する。

トラックに続き乗用車の乗船も始まったのか、客室も各自のスペースが取れる程度に埋まった。

 

放送が入り、減光される。

いつのまにか出港していた。

もう眠くて仕方ない。明日も早い。

鞄を横に抱いて上着を掛け、柔らかくもないカーペットに転がる。エンジン音とその振動が心地よい。程なく再びの睡魔に落ちていった。

 

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3時20分

 

船内放送で起きた。

どうやら外は雨らしい。

寝ぼけ眼をさすりながら、ササッと荷物を纏める。

しばしウトウトする人、歯磨きをする人、顔を洗う人、一斉に起きて身支度を整える光景も修学旅行でもなければないなぁなどと考えつつウェットティッシュで顔を拭く。こういう時にウェットティッシュは便利なのだ。

 

下船が始まりトラックがエンジンを掛ける。

轟音に包まれるデッキ。

船首が開く。

日の上る前、暁の雨の中、それぞれがそれぞれの目的地へ散っていく。

自分もそのうちの1人となり、雨の青森市内へと歩き出した。

 

どちらかといえば仕事人向け。

もう一方と比べて質実剛健青函フェリー

思いがけずとても良い"夜明かし"をさせてもらった。